報告)講演会「グレート・ヒマラヤ・トラバース5000キロを歩く」開催される  総務委員会 佐藤はるな

春の講演会「グレート・ヒマラヤ・トラバース(GHT)5000キロを歩くー重廣隊長と隊員に聞く」が3月15日(日)9時40分から立川のアイムホールで総務委員会主催で開催され、102名が参加した。日本山岳会120周年記念事業の一つであるGHT)について、第1部で廣恒夫隊長が紹介し、第2部で柏澄子氏の司会のもと、飯田邦幸隊員も加わってトークショーが行われた。

GHTは、ネパール東部からインドからパキスタンのカラコルムに至る約5000kmのヒマラヤ山脈を、7回、延べ約400日をかけて歩いて踏査する試みである。ヒマラヤ登山の歴史も踏まえつつ、自然や人々の暮らしの変化を現地で確かめていく取り組みで、スケールの大きさにまず驚かされた。

講演では各回の行動が紹介された。第1回はコロナ禍の影響で、下山後に長期間足止めされながらも、計画を大きく崩さずに行動を続けた経緯が語られた。また、氷河湖決壊(GLOF)の痕跡や氷河の後退など、ヒマラヤの環境変化の現状も報告された。

第2回以降では、6000m級の峠越えなどの厳しい行動が続く一方で、現地の生活の変化についての話も印象的だった。山岳地域では固定電話の前にスマートフォンが普及するなどの変化が見られ、インドやパキスタン地域では、国境や治安といった社会的な要因が行動に影響する現実も示された。また、70代のメンバーが隊の中心となる一方で、若い世代の参加が難しくなっている現状にも言及があった。登山を取り巻く社会環境の変化も感じられた。

トークショーでは、より具体的な体験が語られた。長期間の行動を続ける中で、無理をしないで状況に応じて判断していくことの積み重ねが重要であるという話が印象に残った。また、個人の資金負担が大きいこと、家族や職場の理解が欠かせないことなど、現実的な課題についても語られた。「行けば行ける」という言葉に象徴されるように、強い意思に基づいた、判断や準備の積み重ねがプロジェクトを支えていたことが伝わってきた。

最初は少し遠い話のようにも思えたが、実態は現実の生活と地続きであることが伝わり、イメージが湧いてきた。自分にはまだ難しいと思いつつも、まずは身近な山から経験を重ねていくことが大事と感じた。(写真/辻正人)

PAGE TOP