16.御岳山から大岳山、鋸尾根、奥多摩駅

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★★★ コース NO.16

御岳山から大岳山、鋸尾根、奥多摩駅

/武蔵の国の霊山として信仰集める峰々/
1.御岳山   929m
2.奥の院   1,077m
3.大岳山   1,266.4m
4.愛宕山   507m

JR御嶽駅→西東京バス10分→滝本駅一御岳登山鉄道(ケーブルカー)6分→御岳山駅→25分→御嶽神社・御岳山→5分→長尾平→50分→奥の院→35分→鍋割山→15分→芥場峠分岐→30分→大岳山荘→20分→大岳山→1時間30分→鋸山→1時間40分→愛宕山→10分→JR奥多摩駅  (歩行時間/約6時間20分)
登山道グレード/★★ 体力グレード/★★★ 技術力グレード/★★★★ 総合コースグレード/★★★

山岳信仰のパワースポットをたどる

武蔵御嶽神社

 このコースは、御岳山、奥の院、大岳山など、登りごたえもあり、楽しい山歩きの続く山岳信仰の場をたどる。御岳登山鉄道のケーブルカーで御岳山駅に上る。駅前の広場、御岳平からは、空気の澄んだ季節、筑波山や日光連山が展望できる。御岳平から30mほど登れば富士ノ峰(883m)。山腹はレンゲショウマの群生地だ。鳥居をくぐって左手向こうに日の出山を見ながら武蔵御嶽神社への参道を行く。

御岳山山頂の碑

 神社は第十代崇神天皇7年の創建と伝えられ、関東の霊山として信仰されてきた。山岳信仰の興隆とともに有力な武将たちの信仰を集め、多くの人の参拝によって栄えた。今でも御嶽講で参拝する人々のための宿坊となっている御師(おし)の家が並ぶ参道から日の出山への分岐を過ぎ、天然記念物の神代欅を右に見て急坂を上がると、土産物屋が続く参道の先に神社の鳥居がある。随心門をくぐり長い階段を上ったところが御嶽神社で、御岳山の頂上だ。本殿の裏には奥官遥拝所があって奥の院がスギの木立の間から見られる。なかなか神秘的な姿だ。2013年、遥拝所の手前に山頂標が建てられ、御岳山の最高点が明確になった。

男具那は日本武尊の幼名

奥の院

 神社への階段の途中で登山道に入り長尾平(なごうだいら)に出る。茶屋があって、多くのハイカーがベンチやテーブルで弁当を広げている。登山家・長谷川恒夫の顕彰碑が建っている。ハセツネCUP(日本山岳耐久レース)71.5kmのコースでもある。ロックガーデンへの下りを分けて樹齢350年といわれる「天狗の腰掛杉」のところまで下り、鳥居をくぐって奥の院への尾根通しの急登を行く。巨木の根がむき出しになっている道を上り、ちょっとした鎖場も越えるとやがて奥宮の下に出る。ほとんど展望はないが、春にはところどころでカタクリが迎えてくれる。道が整備されていないのは、今でも修験道の信者が登ってくるからだろうか。
 男具那(倭男具那・やまとおぐな)は日本武尊の幼名であり、日本武尊を祀る奥宮がある峰は、男具那の峰と呼ばれ、別名甲篭山(かろうやま)である。日本武尊が東征の際、この山頂に甲胃を納めたという伝説による。

鍋割山

この東征の折、日本武尊はこの地での難を狼に救われたといわれ、以来、狼が御嶽大神のお使いとなり、「大口真神」(おおくちまがみ)として御嶽神社の裏に祀られている。この社の両側に建つ狼の狛犬はなかなかの迫力だ。
 男具那社の脇から岩の出た急登を上るとすぐに狭い山頂に出る。古びた石造りの小さい祠が奥宮だ。岩がごつごつして切り立った急で細い道を下ると20分ほどで、男具那社の前からの巻道と出合う。4月末、運がよければこの岩場にひっそり咲くイワウチワが見られるが、年々少なくなっている。その先で鍋割山(1,084m)への急な登りを行くと、標識しかない山頂に着く。ここから芥場峠(あくたばとうげ)を上がってきた大岳山への分岐までの20分足らずの尾根道は広葉樹の自然林で、春には両側の林床一面にカタクリが咲き、ミツバツツジ、シロヤシオ、ヤマツツジなどが続く。

大獄神社も狼信仰で知られる

大岳山

 ブナの交じる細い道を行く。10分も歩くと「これより岩場 滑落注意」の立て札が立つ岩の道に入る。左が谷に切れた細い岩場を15分ほど行けば廃屋になった大岳山荘が道の左下に見える。左に馬頭刈尾根への分岐を分け、大嶽神社の鳥居をくぐって神社の横から山頂を目指す。
 大嶽神社は、日本武尊東征の折に住民がその徳を称え建立したのが始まりと伝えられていて、御嶽神社、秩父の三峯神社と並んで狼信仰で知られる。檜原村白倉の里宮では今でも狼の護符が受けられる。神前の子犬のような狼の狛犬が登山者に人気だ。
 露岩の急登を、ところどころ手を使いながら登れば15分ほどで広い山頂に出る。

大岳山

大きく開けた南西側に、富士山を中央に右手前には優雅で大きな御前山、その先遠くには大菩薩嶺、左手向こうには丹沢の峰々が望める。大岳山は遠くからでもよくわかる特異な山容から、遠く房総あたりで海路の目印とされたと伝わっている。
 山頂からは北西の鋸尾根を下る。若宮ノ頭(1,090m)を越え、トバノ中岩山(1,158m)、中岩山(1,107m)、オキノ中岩山(1,100m)を巻きながら、美しい自然林の中、細くて急な下りの道の両側には、春にはミツバツツジが咲き誇る。岩の間を下り、尾根道を行くこと1時間半ほど、大ダワ・御前山への道を左に分けて大きな岩を登ると鋸山(1,109m)だ。スギに囲まれて展望はない。ひと息ついて先を急ぐ。

鋸尾根は気が抜けない

 鋸山の山頂から下ると鞍部に出る。ここにも大ダワ・御前山への道があり、鉄の階段が尾根のすぐ近くまで上がってきている。ここからの鋸尾根は、露岩と木の根っこの出たヤセ尾根、ところどころ岩場に掛けられた梯子や鎖場があり、気が抜けない。鎖場コースも出てくるが、自信のない人は敬遠しておこう。小さなアップダウンも交えて1時間ちょっと下り、わずかに登り返すと大天狗・小天狗の石像が祀られている天聖神社の岩峰に着く。晴れていれば、石尾根の眺めが素晴らしく、ひと休みするにも恰好の場所だ。
 さらに30分ほど、電波塔を過ぎて登計(とけ)峠へ。集落への林道を左に見て鳥居をくぐり、愛宕山に上る石段を上ると、火の神を祀る本殿があり、裏へ回ると五重塔が建つ広場に出る。さらに、垂直に見えるほど急な約180段の石段を下り、愛宕園地を抜けて昭和橋で多摩川を渡れば、かつて氷川と呼ばれたJR奥多摩駅に着く。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)  

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