15.境集落から御前山を越え湯久保尾根

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★★★ コース NO.15

境集落から御前山を越え湯久保尾根

/カタクリで人気の峰から尾根を離れた二つの峰へ/
1.御前山   1,405m
2.湯久保山  1,040m
3.仏岩ノ頭  1,019.2m

JR奥多摩駅→西東京バス5分→境橋バス停→40分→栃寄森の家→30分→トチノキ広場→40分→カラマツの広場→30分→避難小屋→10分→御前山→40分→モーテ山→30分→湯久保山→30分→仏岩ノ頭→1時間30分→小沢バス停
(歩行時間/約5時間30分)
登山道グレード/★★ 体力グレード/★★★★ 技術力グレード/★★ 総合コースグレード/★★★

御前山は大岳山に対する〝姫御前〟

 八王子などから奥多摩の山々を見ると、特異な形の大岳山がまず目につくのだが、その左に「山」という漢字そのものといってもいいような、きれいな三角錐の山がある。御前山だ。山名の由来は、大岳山を男性と見立て、それに対する「姫御前」から、また神様に供える盛り飯「御膳」の形に似ているからなどといわれている。大岳山、三頭山とあわせて奥多摩三山と呼ばれる。
 JR奥多摩駅前から西東京バスの奥9~15系統のいずれかに乗り、数分で境橋に着く。多摩川にかかる橋の上のバス停だ。少し戻り、奥多摩駅寄りの橋詰めから「体験の森入口」の道標に従って林道に入る。15分ほどで養魚場を過ぎ、道が右に大きくカーブするところに栃寄沢沿い登山道の分岐がある。ここを入って沢沿いに登って行くと、体験の森トチノキ広場まで林道を歩かずにすむ。沢を何度も渡り返したり、栃寄沢の大滝と呼ばれる美しい滝を眺めたり、ワサビ田の横を通る美しいコースだ。登山道崩壊で通行止めだったが、2017年5月に通行が可能になった。
 林道をそのまま進むと、体験の森の拠点となる栃寄森の家がある。宿泊もでき、森を育てる大切さを知ることができるさまざまな体験活動を行っている。さらに林道を行き、一般車通行止を過ぎてしばらくすると、右手に「ヒノキの広場を経て御前山」の道標がある。こちらは、ヒノキの広場、スギの木広場、落葉樹の広場などを経て、御前山と西隣の惣岳山との鞍部に出る登山道だ。
 登山道に入らず林道に沿って進むと、先ほどの栃寄沢沿い登山道が左下から合流してくる先にトチノキ広場がある。トチの巨木の周囲に東屋やトイレが整備されており、休憩するのにちょうどいいところだ。ここから先が体験の森となる。

体験の森を抜け御前山へ

カラマツの森あずまや

 体験の森の中は地形図に描かれていない作業道が入り組んでいて少し分かりづらいのだが、トチノキ広場から先は「登山道 御前山」という道標に従って歩けばいい。40分ほどでカラマツの広場に着く。カラマツの林の中に東屋がある。気持ちのいい場所だ。春にはカタクリが咲き、冬には石尾根や川苔山、蕎麦粒山方面が、葉を落とした木々の間から眺められる。
 さらに30分ほどで御前山避難小屋に着く。ログハウス風のとてもよく整備されている綺麗な避難小屋で、トイレもある。その先に山頂への分岐がある。階段状を10分ほど頑張ると頂上だ。御前山一帯はカタクリの花で有名で、シーズンの春先には山頂も混み合う。周囲にカラマツが伸びていて、展望はあまりよくない。北には木の間越しに石尾根を、南西には笹尾根の向こうに富士山を眺める。
 下山は、西へ惣岳山、サス沢山、小河内ダムのコース、また東へクロノ尾山、大ダワ、鋸山、奥多摩駅のコースなどがよく使われているが、南へ湯久保尾根を下りる。山頂から、来た道を引き返し、先ほどの避難小屋からの道との分岐を右へ。ほんの数mで大ダワ方向と湯久保尾根を分ける分岐があるので、道標に従い湯久保尾根への道に入る。1/25000地形図では、避難小屋への分岐と湯久保尾根への分岐が50mほど離れているが、実際はほぼ十字路になっている。

静かな山歩きが楽しめる湯久保尾根

若緑山

 最初はスギの植林の斜面を行く。ところどころで左の樹間から大岳山や御岳山の奥の院が見える。大岳山はこのあと湯久保尾根を行くにつれどんどん大きく見えてくるのでお楽しみに。15分ほどで右から下りてくる湯久保尾根に乗る。ここからが快適な尾根歩きとなる。1,191mの標高点のあたりは若緑山(1,191m)と呼ばれている。実際には尾根上のやや平坦な場所に過ぎないのだが、樹木に巻かれた赤テープにマジックで山名が書かれている。
 数分下ると、小屋が崩壊したのかトタン板が丸太の柱の周りに散らばっているところがある。

モーテ山

その先に「湯久保・小沢」の道標があり、登山道は左に曲がって下りて行くのだが、ここを直進して小さなコブを越えるとモーテ山(1,120m)だ。ここにも樹木に山名を書いた赤テープが巻いてある。林の中で展望はまったく利かないが、珍しい名前の山なのでピークを踏んでおくのもいいだろう。
 道標まで戻り、左手に間近になってきた大岳山が木の間越しに見え隠れする登山道を下りて行くと、いったん登り返しになり、その登りが終わって道が左に曲がるところに「湯久保・小沢」の道標がある。そこを尾根通しに直進すると、すぐに湯久保山のピークに着く。「湯久保山1044m」と表札のように書かれた板が木にかけてあるだけの静かなピークだ。ここも樹林のために展望はほとんどきかないが、登ってきた御前山が樹々の間から望める。

下草に隠れた三角点を探す

 再び登山道に戻り、落葉広葉樹の間の気持ちのよい道をなおも行くと、標高1,010mあたりで道が右へ曲がりながら下り始める。左の稜線が登山道から離れないうちに、適当なところで稜線に乗り、まっすぐ進むと、あまり手入れされていない鬱蒼とした植林の中に仏岩ノ頭のピークがある。スギの木の根元、倒木の下に三角点がひっそりと置かれている。そのまま直進しても登山道に出るが、このあたりはその名のとおり岩、それも巨岩が多いので危険な箇所もある。来た道を引き返して登山道に戻ろう。
 やがて湯久保への分岐に出る。道標があり、右の湯久保方面に行くと、すぐに鑾野(すずの)御前神社がある。巨岩の前の小さな祠なのだが、ちょっと変わった狛犬がある。興味のある人は立ち寄ってみるのもいいが、分岐を「宮ヶ谷戸バス停」方向に直進する。ここから東の703mのピークまで、1/25000地形図では928mピークの南側に登山道の破線が描かれているが、実際の道は928mピークから派生する尾根上を703mピークまで通っている。
 巨岩帯を抜け、どんどん下って行くと、やがて伊勢清峯(いせきよみね)神社の鳥居が登山道をまたぐように立っている。バスの時間に余裕があれば寄って行くのもいいだろう。間もなく登山道は終わり、小沢の集落に出れば、ほどなく北秋川を渡る橋の横に小沢(旧宮ヶ谷戸)バス停がある。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)

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