25.奥多摩湖から大ブナ尾根を登り惣岳山、都民の森

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★★★ コース NO.25

奥多摩湖から大ブナ尾根を登り惣岳山、都民の森

/幻の三角点を探し、展望の頂から月読命の峰へ/
1.サス沢山      940m
2.惣岳山       1,341m
3.ソーヤノ丸デッコ  1,260m
4.月夜見山      1,147m

JR奥多摩駅→西東京バス20分→奥多摩湖バス停→1時間10分→サス沢山→1時間10分→惣岳山→15分→ソーヤノ丸デッコ→40分→小河内峠→50分→月夜見第二駐車場→20分→月夜見山30分→風張峠→30分→鞘口峠→15分→都民の森バス停→西東京バス1時間10分→JR武蔵五日市駅
(歩行時間/約5時間10分)
登山道グレード/★★ 体力グレード/★★★★ 技術力グレード/★★ 総合コースグレード/★★★

かつて御前山に登る主要登山ルートだった

サス沢山

 JR奥多摩駅から奥多摩湖バス停まで西東京バスで20分。堰堤を渡って15分ほど歩くと園地の奥に御前山登山口の標識がある。ジグザグに上ると、すぐに大ブナ尾根に取り付く。いきなり雑木の間の急登が始まる。かつて御前山に登るのはこれが主要な登山ルートだった。急な登りを敬遠して、境橋から栃寄集落を抜けて登るルートを行く人が多くなった。
 足元をみての急な登りは先が見えないから、初心者は圧倒されるが、右下に木々の間から奥多摩湖を垣間見ながら一歩一歩登る。

サス沢山展望台

滑りやすいうえに木の根が張り出し、つかまるところもあまりない。道の左側に延々とロープが張ってある。手も使いながら登ること20〜30分で、いったん緩やかな下りになる。ひと息ついて10分も下るとまた上りになる。それも10分ほどで終わると広葉樹の尾根道をトラバースしながら緩やかに進む。急登が終わってから30分ほど、登山口からは1時間ほど、雑木林がまばらになって少し開けた感じになり、サス沢山に着く。山の頂上らしいものは何もないが、すぐ右手先に青々と輝く奥多摩湖が望める展望スポットがある。ベンチもあって奥多摩湖の向こうの石尾根を見ながら休憩するのに絶好の場所だ。ここには三角点があるが、それに気付く人はまずいないだろう。山頂のど真ん中に埋まっている。踏まれて削れて、ただの石にしか見えない。探してみてはいかが。

惣岳山直下まで綺麗な広めの尾根道が続く

惣岳山

 サス沢山からは緩やかな上り下りが1時間ほど続く。たまに大きな岩を巻いて登るところもあるが、概してブナやミズナラの綺麗な広めの尾根道だ。惣岳山の近く、あと30分足らずのところまで来ると最後の急登になる。谷のように深く掘れた尾根の左をトラバースするように登る。尾根の両側にコバイケイソウが群生していて、春には御前山のシンボルとなったカタクリがところどころに見られる。以前は最盛期に登山道の脇まで溢れるほど咲いているのが見られたのが、盗掘や鹿の食害で、よく探さないと見つからないほど少なくなった。早春にはキブシ、マンサク、アブラチャン、ダンコウバイなどの木々がいち早く黄色い花を咲かせて登山道の脇を彩る。

ソーヤノ丸デッコ

 惣岳山直下、丸太の階段が作られているが道が深く掘れて歩きにくい。登りついた惣岳山の山頂は、かなりの広さがあってベンチや周辺に座っていくつもの登山者グループが休憩したり昼食をとったりしている。ほとんどは御前山を目指す人たちだ。西側が開けていて、これから向かう三頭山のほかに富士山、雲取山から奥秩父の山々が望める。登山道の正面、樹間から御前山が見えるが、惣岳山から一度下ってまた登れば30分ほどで山頂に着ける。

小河内峠

 惣岳山からは御前山へのコースを分けて、三頭山へ続く奥多摩主脈縦走路の急な尾根を下る。両側がクヌギやミズナラの自然林。15分ほど下りると緩い上りになって岩場のピークに着く。ここがソーヤノ丸デッコだ。山名板はないのだが、展望の素晴らしさはこの縦走路で一、二を争う。空気が澄んでいれば、石尾根から雲取山、奥秩父の山脈、その向こうに富士山が望める。10分ほどで岩場を過ぎて巻道と合流する。巻道には石が積まれている。右側が崖で切れ落ちているヤセ尾根を過ぎると、急だが気持ちのよい下り20分ほどで小河内峠(1,050m)に着く。道標とベンチが2つあって、奥多摩湖を見おろせる。小河内峠は1957(昭和32)年に完成したダムの底に沈んだ旧小河内村と檜原村藤倉の集落とをつなぐ道だった。今もこの峠から踏み跡は薄いものの奥多摩湖に下りる道が続いており、武蔵五日市から藤倉バス停を経て峠に上り、惣岳山、御前山、さらに大岳山へ登る登山者が通る。

月夜見の優雅な名前は「月読命」に由来?

水窪山

 小河内峠からは、一般的には巻道を行くが、尾根筋をたどって、水窪山(1,040m)と天神山(1,045m)を踏んでおこう。水窪山への登りは急で滑りやすいが、尾根に上がれば明るく気持ちのよい道となる。巻道と合流し、最後の急登を終えると月夜見第二駐車場に出る。ここから奥多摩周遊道路を10分ほど歩くと左側に月夜見山への標識があり山道に入る。さらに10分ほどで山頂に着く。頂上は標識とベンチ、三角点があり、左側は植林のスギ、右側は広葉樹に囲まれ展望はない。月夜見とは優雅な名前だ。「月読命」から来ているのだろうか。
山頂から下ると、すぐに巨大な岩を巻いて周遊道路に出る。周遊道路からは目指す方向に奥多摩三山のひとつ、三頭山の姿がよく見える。数分で右側の尾根道に入り、また周遊道路に出て、再び周遊道路の右側を並行する尾根道に入るが、2度目に尾根道に入るところは標識が不明瞭で分かりにくい。ミズナラ、クヌギ、トチ、ブナの自然林の道を細かいアップダウンを繰り返しながら、30分ほどで風張峠に着く。途中にイチヤクソウが群生している。峠からすぐ下に駐車場があり、三頭山や御前山への登り口になっている。小河内峠と同様に風張峠からも倉掛尾根を通って藤倉の集落に下りられる。奥多摩湖の方に下れば山のふるさと村、丹波山村、小河内神社に出る。
風張峠から、さらに30分ほど緩やかな上り下りの尾根道を行くと鞘口峠に着く。そこから都民の森に下る。鞘口峠—風張峠—月夜見山—小河内峠—惣岳山のコースは、奥多摩主要峰をめぐるハセツネカップとして知られる71.5km日本山岳耐久レースの後半の一部になっている。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)

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