06.急登の稲村岩尾根から鷹ノ巣山、倉戸山

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★★★★ コース NO.06

急登の稲村岩尾根から鷹ノ巣山、倉戸山

/稲村岩尾根から鷹を育てた豊かな森へ/
1.鷹ノ巣山  1,736.6m
2.榧ノ木山  1,485m
3.倉戸山   1,169.3m

JR奥多摩駅→西東京バス20分→東日原バス停→15分→巳の戸橋→50分→稲村岩のコル→(稲村岩往復25分)→稲村岩のコル→1時間40分→ヒルメシクイノタワ→30分→鷹ノ巣山→30分→石尾根の分岐→40分→榧ノ木山→1時間→倉戸山→1時間→温泉神社→15分→熱海バス停→西東京バス22分→JR奥多摩駅
(歩行時間/約7時間)
登山道グレード/★★★ 体力グレード/★★★★★ 技術力グレード/★★ 総合コースグレード/★★★★

稲村岩から稲村岩尾根を登る

稲村岩

 奥多摩の鋭鋒、鷹ノ巣山に稲村岩尾根から登り、石尾根を経由して水根山から榧ノ木山へ。最後は倉戸山から奥多摩湖まで下る健脚向コースだ。
 標高620mの日原集落から標高差は1,000m余り。奥多摩三大急登の中でも最も急峻とされる。しかし、広くて眺望の利く鷹ノ巣山の山頂に立てば、富士山から南アルプス、そして丹沢や奥多摩などの雄大なパノラマが広がり、苦労して登ったかいを感じるだろう。さらに倉戸山から奥多摩湖方面に下山するコースを選ぶと、少々長いがサクラの名所と豊かな植生の中を歩く気持ちのよい締めくくりとなる。季節は木々が葉を広げる春から夏がよいが、秋の紅葉の時期も素晴らしい。

鷹ノ巣山

 奥多摩駅から西東京バスで東日原行バス停で降りる。鍾乳洞方向へ歩き、川沿いの古い民家や商店、郵便局や駐在所を見ながら行く。5分ほどで前方には特徴のある稲村岩の岩峰が見える。「萬寿の水」を過ぎると登山口の導標があり、民家の間から階段を下りる。日原川に沿って山道を下り、巳ノ戸橋を渡ると登山道となる。右に廃道を見て、標識に従い稲村岩直下に着く。丸太橋を二度ほど渡ると本格的な登りになる。九十九折りの道を喘ぎながら登る。最後は滑落注意箇所をロープや木の根をつかんで稲村岩尾根に上がり、ひと息つく。

山頂から御前山、三頭山方面、手前に榧ノ木尾根と榧ノ木山

コルから稲村岩を登る場合は、ザックは置いて空身で行こう。岩場が続くので未経験者は決して無理をしないこと。10分余りで稲村岩の頂上に着く。樹間からは本仁田山や川苔山が透けて見える。
 稲村岩から降りたら、稲村岩尾根の手強い登りにかかる。木の根の出た尾根が始まり、ゆっくりとしたペースで進む。標高が1,000m近くになるとブナやミズナラの木が現れる。明るい広葉樹の森は美しく気持ちがよい。さすがに急傾斜だが、登山道はゆったりとした尾根幅にジグザグと付いているのであまり傾斜は気にはならない。忍耐強くただひたすら登る。大きなブナが目につくようになると急に傾斜が緩み、細い尾根上の平坦地に出る。ヒルメシクイノタワだ。かつて山仕事の人たちが、ここで昼食を取ったことから名前がついたとか。北西方向に雲取山、芋木ノドッケが対峙しているのが見える。もうひと息、20分ほどの急登で鷹ノ巣山の山頂に飛び出す。

広く緩やかなカヤトの尾根

榧ノ木山

 広い山頂の中央には新しい大きな標柱と二等三角点がある。東から南西方面が開け視界が大きく広がり、富士山や南アルプス、大菩薩嶺をはじめ、目の前には奥多摩三山と丹沢など、見飽きることがない。わずかに北方向の眺望が利かないのが残念だ。
 鷹ノ巣山一帯は、幕府に差し出す鷹狩りのための鷹を確保する「御巣鷹山」のひとつだった。周辺の村民でさえ立入禁止の御留山(おとめやま)で、山が荒らされないよう、厳しい規制と監視が行われたという。現在でもこのあたりが豊かな自然に恵まれているのは、そのためではないかと考えたくなる。
 南の尾根上にピークが見える榧ノ木山を目指して石尾根を下る。登りとは一変してカヤトの尾根は広く緩やかだ。少し下りかけたところは6月頃には濃いオレンジ色のヤマツツジの花が満開だ。

榧ノ木山山名板

 足元には大きな葉を広げるマルバダケブキが目立つ。防火帯の尾根道は、滑りそうな赤土の斜面で注意がいる。右に下る標識のところで尾根道から巻道に5mほど下りる。ここで石尾根から離れ、榧ノ木山への尾根筋に乗り替える。緩やかな巻道の下笹はシカの食害のためか枯れている。
 カラマツ林を過ぎ、水根沢林道への分岐を左に登り、尾根分岐を右に分ける。榧ノ木山に南下する尾根をアップダウンしながら行くと、黄色のテープがある。左の急坂を登って直進すると樹林の尾根の中に榧ノ木山頂上がある。手製のプレートがある静寂の峰だ。あたりに榧ノ木はなくブナやダケカンバが目立つ。さらに下ると縦走路と合流する。クリの細い樹が目立つ。秋は足の置場もないほどイガが落ちている。枯葉で覆われた広い尾根道は速足で下って行けるが、霧や夕暮れ時、積雪時はルートを誤りやすい。クリやブナの実などクマの好物も多い。できれば経験者と一緒に歩くようにしたい。左に大きくカーブして、樹林帯が切れた広い場所に出ると倉戸山である。

最後は奥多摩湖に向かい急な下り

 倉戸山は気分のよい頂上だ。大きな倒木が横たわる奥に四等三角点があり、周囲はヤマザクラ、カエデ、ツゲ、クリ、ミズナラ、クルミなどの大木に囲まれて雰囲気がよい。森の豊かさを感じさせる。この山だけを目指して登っても充分楽しめる。
 公園のような広場でゆっくり休み、奥多摩湖に向かい最後の急な下り斜面に入ろう。樹林はますます美しく、それを何度も見上げ、左右に振りながら下る坂道は悪くない。滑りそうな箇所もあるが、ゆっくりと下って行こう。尾根上の平坦な場所は、バスの待ち時間の調整をしながら休みたいところだ.。元気を出し最後の急坂を下ると、ようやく奥多摩湖が見える。アンテナの横を抜けて山道が終わると温泉神社に着く。御前山と静かに横たわる奥多摩湖の眺めが素晴らしい。T字路を右折し折り返して階段を下ったところが熱海バス停だ。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)

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