★★★★ コース NO.01
鴨沢から雲取山を越えて三峯神社
/2000mを超え、東京都を代表する一等三角点の山/
1.雲取山 2,017.1m
2.小雲取山 1,937m 1日目/JR奥多摩駅→西東京バス34分→鴨沢バス停→30分→小袖乗越→1時間20分→茶煮場→30分→堂所→50分→七ッ石小屋分岐→50分→ブナ坂→50分→奥多摩小屋跡→40分→小雲取山→30分→雲取山→25分→雲取山荘 (歩行時間/6時間30分)
2日目/雲取山荘→20分→大ダワ→30分→芋木ノドッケ下→30分→芋木ノドッケ→45分→白岩山→30分→白岩小屋30分→前白岩山→40分→お清平→30分→霧藻ヶ峰→15分→地蔵峠→30分→奥の院分岐→40分→登山口→20分→三峰ビジターセンタ→西武観光バス50分→秩父鉄道三峰口駅 (歩行時間/約6時間) 登山道グレード/★★★ 体力グレード/★★★★★ 技術力グレード/★★ 総合コースグレード/★★★★
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1日目/鴨沢から雲取山荘へ
鴨沢バス停の横から標識に従い、民家が並ぶ坂道を歩き出す。山道に入ると眼下には奥多摩湖、前方には丹波の山が見えてくる。小袖乗越まで約30分。緩やかな植林の中の道を登ると30台ほど車が止められる駐車スペースが現れ、公衆トイレがある。マイカーの場合はここがスタートだ。
5分ほど林道を北に進むと左に登山口があり、ここからだらだらとした長い登りが始まる。小袖山(1,054.1m)から続く長い尾根の東斜面の中腹を巻きながら道はうんざりするほど長く続いていく。1時間ほど歩くと左手の林内に水場があり、その30メートルほど先に茶煮場(ちゃにっぱ)と呼ばれる広場がある。風呂岩(すいほろいわ)を過ぎてしばらく行くとやっと登山道が尾根上に乗り、その5分ほど先に堂所という腰を下ろしたくなるような開けたスペースがある。ここは昔、バクチが行われていた場所だったといわれる。見渡すと周囲にはアセビとミズナラ、イヌブナが目立つ。
その先でようやく登りらしい登りとなり、マムシ岩を過ぎると、やがて七ッ石小屋への道を右に分ける。分岐の先は片倉谷の源流を巻く水平な道である。このあたりの道は歩きやすく、広葉樹林が気持ちよい。ブナ坂まではおおむねだらだらとした登りだが、巻道なので意外に時間がかかる。
ブナ坂十字路は、七ッ石山からの石尾根の登山道、唐松谷林道(2022年6月現在、崩落のため通行止め)が合流する。ここからは石尾根の防火帯の広い道を歩く。
左手の防火帯の伐開きにはマルバダケブキが目立ち、その先にはカラマツ林が広がる。視界が大きく広がり左前方には三条ダルミから三ッ山、飛龍山へ続く奥秩父の山並み、西に大菩薩連嶺、その奥には南アルプスの峰が高さを競っている。
五十人平の登りにかかると、登山道の両脇に東京都のレンジャーと関係者がオーバーユースによる登山道の広がりから植生を守るため積んだ石積みが続いている。
五十人平のヘリポートを過ぎると道の右手に奥多摩小屋跡の空き地がある。ヨモギ尾根からの登山道の方に水場はあるが、あとは小屋があったことをしのぶものは残っていない。そこから正面の坂を登るとヨモギの頭(1,813m)だが、ここは右手の巻道を行ってもよい。その先の小雲取山へは短いがきついジグザグの道を登る。だいぶ疲れも出てくる頃なので、ゆっくりと登りたい。
富田新道からの道を合わせ、登山道は小雲取山のピークを左にまく。道からそれて右手の背の低い笹を登ると小雲取山の山頂があり、立木に山名標がかかっている。そこを過ぎると幅の広い平坦な道となり、目の前には避難小屋が建つ雲取山の山頂が見える。
最後にひと登り、避難小屋から少し行ったところが雲取小屋の山頂だ。一等三角点と明治の初めに内務省が設置した「原三角測點」があり、他にも補助点や国土地理院による説明板がある。
避難小屋の脇の高みからの眺望は素晴らしい。南の富士山もさることながら、はるか西の高みに幻のように浮かぶ南アルプスの高峰の連なりには思わず見入ってしまう。特に朝日や夕日に染まる光景は神々しく、そんな眺めに出合えたらラッキーだ。南方向には奥多摩や丹沢の山々が重畳と重なり、夜間には東に東京都心の灯も見える。
山頂からは北に向かう。今まで登ってきた開放的な道とは一変した苔むした原生林の急坂を下る。やがて、雲取山荘の屋根が見え隠れするようになり、小屋の創設者富田治三郎と奥秩父開拓者の田部重治のレリーフを見ると間もなく山荘の前に降り立つ。
2日目/大ダワと芋木ノドッケ
山荘の前からは大きな芋木ノドッケと、その背後には長沢背稜が連なって見える。北に下り、テントサイトや旧雲取ヒュッテを過ぎると大ダワに向かっての登りとなる。尾根上を緩やかに登る男坂と巻道の女坂があるが、どちらも大差はなく大ダワへ達する。このあたりは大きな倒木が目立ち、日原へ下る大ダワ林道は崩落のため通行止め(廃道)となっている。三峯神社への標識を見て急坂を登り出すとルートは左へ尾根を巻く。次の分岐で右上へと尾根に登り出すと芋木ノドッケへ向かうことになるが、通常は先の巻道を行く。
巻道は、ツガの原生林で高山植物が見られる。木製の急階段やハシゴ、そして切れた箇所もあって注意がいる。尾根上のルートに戻り白岩山に向う。山頂には大きな標識と三角点、テーブル、ベンチがある。白岩の名称は石灰岩のことを指している。
ここから白岩小屋に向かっては急下降だ。ジグザグ坂を下ると現在は使用されていない小屋の前に出る。ベンチと簡易トイレがあるので休憩できる。小屋の裏側からは、天気がよいと奥秩父の和名倉山と両神山が望める。
白岩小屋から前白岩山へ。奥秩父の山々がよく見える。少しずつ標高を落としながら、肩を過ぎると急坂の下りが連続する。鎖、ロープや木の階段、岩場も現れて緊張するところだ。
ダケカンバ、ブナにトウヒも交じり、足元には色々な種類のコケも観察される。どんどん下ると「お清平」だ。大血川への下山路にもなっている場所で、静かな樹林帯だ。
お清平からは登り返しとなり、緩やかになった最後の山道が続き、いきなり霧藻ヶ峰の休憩舎の前に出る。名前の由来となるサルオガセはなくなった。春はチチブドウダンが美しい。狭い場所ながらベンチやテーブルもあり、小屋の背後にはトイレもあって休んでいくのにはよい場所だ。階段を降りると、秩父宮殿下と妃殿下のレリーフが岩壁に埋め込まれている。その先にアセビに囲まれた三等三角点がある。ここから三峰口へは本格的な長い下りとなる。地蔵峠の小さな地蔵と標識を見て、北西へ延びる長い尾根をひたすら歩く。二岐檜、炭焼平、妙法ヶ岳分岐の鳥居などを通過して樹林の中を下る。三峯神社までの距離があとわずかになると、大きな鳥居がある登山口に出る。林道に出ると10分余りでビジターセンターに到着。大駐車場のすぐ前が三峯神社のバス停だ。
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)
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