18.江戸小屋尾根から鞘口山、鋸尾根

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★★★★ コース NO.18

江戸小屋尾根から鞘口山、鋸尾根

/江戸小屋尾根の風光絶佳な展望地/
1.九重山   954m

JR奥多摩駅→西東京バス4分→病院前→2分→慈眼寺→10分→弘法大師→20分→10号鉄塔→1時間→伐採地→5分→九重山→35分→江戸小屋山→40分→鞘口山→25分→大ダワ→20分→鋸尾根→1時間15分→天聖神社→20分→電波塔→15分→愛宕山→20分→JR奥多摩駅 (歩行時間/約5時間50分)
登山道グレード/★★★★ 体力グレード/★★★ 技術力グレード/★★★★★ 総合コースグレード/★★★★

梯子を登って江戸小屋尾根に取り付く

慈眼寺

 JR奥多摩駅から奥多摩湖方面のバスに乗って、ほんのわずか。正面に左上から落ちている急な尾根が見える。江戸小屋尾根だ。バスで移動する場合は奥多摩駅から5つ目のバス停「病院前」で下車するが、歩いても15分くらいで到着できる。

札所弘法大師

 バス停から坂を登ると慈眼寺がある。本堂の前を横切り、左に墓地を見ながら細い道を進むと左に上がるジグザグ道が見つかる。そこを上って行くと、左右に明瞭な道が通っている尾根の上に出る。右にわずかに進むと、新四国奥多摩霊場八十五番札所・弘法大師の表札の掛かった立派なお堂がある。ここはもう江戸小屋尾根の末端だ。
 五日市市街の展望がよく、右手には鋸尾根がスカイライン

尾根に取り付く鉄階段

を描いている。夏場はヤブがちょっと煩わしいが、歩く人も多くなったようで道標も置かれている。ヤブを抜けると江戸小屋尾根を分断している林道に出る。右に見える立派な山容が三ノ木戸山、左手に連なるのは鋸尾根。展望がよいので、ちょっとひと休みにはピッタリの場所だ。
 分断された江戸小屋尾根に取り付くために、林道をわずかに左に歩いて鉄の梯子を探す。梯子はすぐに見つかる。梯子を登りきるところがちょっと不安定だから気を付けたい。明瞭な踏み跡をたどると10号鉄塔に着く。西側の展望に恵まれ、三ノ木戸山とハンノキ尾根のイソツネ山が、小中沢を挟んで向かい合っている様子がよく分かる。ここからは樹林帯を登るので展望はなくなる。じっくりと景色を堪能しておこう。

急登のあとに待っている大展望

九重山山頂

 地形図でも分かるように急な登りが続く。以前はなかったトラロープも張ってあるが、急登も760mあたりで平坦になる。左はヒノキの植林帯、右は自然林。急なこの尾根の中ではほっと安心できる場所だ。その先100mは灌木帯の直線的な急登となる。足元は不安定なうえに、灌木をかき分けたり腰をかがめたりしながら進む。展望はないが、振り返ると樹木の間から奥多摩の町並みが見えたりして気分がほぐれる。
 そんな急登も850m付近から自然林になる。尾根も広くなって傾斜もやや緩み、空が明るくなって急に明るい伐採地に出る。正面(西)には奥多摩湖と小河内ダムがくっきり。その右に、倉戸山、六ッ石山、狩倉山、三ノ木戸山。湖の左には堂々と御前山。シダクラ尾根の麓には栃寄の集落もよく見える。ヤブの中を登ってきただけに、この大展望は爽快そのものだ。

九重山標識

 ここから九重山山頂へはわずかだ。尾根筋には、用地境界目標と記された杭や東京都水道局の杭、そのほか不明な標識が数多く置かれ、ずいぶんと人臭くなった。九重山の山頂には黄色い大きな山名板まで設えられている。展望のない樹林に囲まれた山頂はひっそりとした雰囲気が好ましかったが、ちょっと薄れてしまったようでもある。
 次の目標の江戸小屋山に向かう。樹林の道から岩がちな道となる。ちょっと分かりづらい部分もあるが、尾根筋をたどれば間違いはない。尾根が明瞭になると、西側の植林帯がほぼ完全に伐採された大展望地に出る。これまで見ることのできなかった御前山の大パノラマにしばし目を奪われる。さらに尾根を進むと再び樹林帯の中を行くようになり、ピークをひとつ越えた先が江戸小屋山(970m)だ。細長い頂稜で、どこが山頂か分かりにくかったが、ここにも黄色い山名板が付けられていた。

最後の急登は豊かな植栽に和む

鞘口山

 穏やかな山頂をあとにして鞘口山(1,142m)へ向かう。足元が不安定な斜面を下りきると展望がちょっと開けた鞍部に出る。ここからは鋸尾根の鋸山がすっきりとしたピラミダルな姿を見せてくれる。鞍部からは打って変わって急登だ。周囲は樹種が豊富で、カエデ、リョウブ、コナラ、クヌギ、ミズナラなどが密に集合している。きつい登りだけに、単調な景色でないのが嬉しい。標高差にして約200mを登り切れば鞘口山にひょっこり飛び出す。ベンチで休んだら大ダワへ向けて下山しよう。
 急斜面に注意してひと下りすれば、幅の広い歩きやすい縦走路となる。いくつかのアップダウンを越え、鋸山避難小屋跡を過ぎれば大ダワに難なく到着する。大ダワ林道を渡り、道標に従って登る。疲れた脚にはきつい。途中、大岳方面への道を右に分けて、ひと頑張りして鉄の階段を上れば鋸尾根だ

鋸尾根は気が抜けない

 鋸山の山頂から下ると鞍部に出る。ここにも大ダワ・御前山への道があり、鉄の階段が尾根のすぐ近くまで上がってきている。ここからの鋸尾根は、露岩と木の根っこの出たヤセ尾根、ところどころ岩場に掛けられた梯子や鎖場があり、気が抜けない。鎖場コースも出てくるが、自信のない人は敬遠しておこう。小さなアップダウンも交えて1時間ちょっと下り、わずかに登り返すと大天狗・小天狗の石像が祀られている天聖神社の岩峰に着く。晴れていれば、石尾根の眺めが素晴らしく、ひと休みするにも恰好の場所だ。
 さらに30分ほど、電波塔を過ぎて登計(とけ)峠へ。集落への林道を左に見て鳥居をくぐり、愛宕山に上る石段を上ると、火の神を祀る本殿があり、裏へ回ると五重塔が建つ広場に出る。さらに、垂直に見えるほど急な約180段の石段を下り、愛宕園地を抜けて昭和橋で多摩川を渡れば、かつて氷川と呼ばれたJR奥多摩駅に着く。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)

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