報告)栗沢山・アサヨ峰・高嶺(南アルプス) ー中級教室スピンオフ企画で早川尾根を歩くー 山本曜子

【日程】2025年8月3日(日)~5日(火)

【天候】1日目/雨 2日目/晴 3日目/霧雨のち晴

【参加者】L野口、SL浅野、中島、中山、山本

【行程】

1日目/16:20長衛小屋→17:00仙水小屋

2日目/5:30仙水小屋→6:40仙水峠→9:20栗沢山→11: 30アサヨ峰→15:00早川尾根小屋

3日目/4:50早川尾根小屋→8:50高嶺→10:30地蔵岳→16:50御座石鉱泉=韮崎駅

【記録】

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1日目/中級登山教室(甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳)解散後、有志による「早川尾根を歩く」スピンオフ企画に参加した。仙丈ヶ岳登山中は晴れていたが、テント場に戻る頃に雨が降り出す。帰京する仲間に寝袋など不要な幕営用品を託し、雨脚が弱まるのを待ったが、小降りになるどころかますます強まっていく。予約してあった仙水小屋の宿泊をあきらめかけ、長衛小屋に空きがあるか確認するも満室との返答。覚悟を決め、黄昏迫る土砂降りの雨の中を仙水小屋へ向けて出発した。滑りやすい足元に注意しながら木橋や鎖場を通過し、仙水小屋に到着。全身ずぶ濡れの私たちを、小屋の方々が温かく迎えてくださった。キノコ汁やアジフライ、肉じゃがなどの温かい夕食で身も心も温まる。濡れた荷物も部屋中に広げて干させてもらう。広いベッドで脚を伸ばして、小屋のありがたさをかみしめながら眠りについた。

2日目/午前4時30分起床、朝食を済ませる。小屋の方から「長いからね。気を付けて。早川尾根小屋に電話しておくから」と心強い言葉をいただき出発。仙水峠まではガレ場を進む。木々の間から朝陽が差し込み、もやが立ちこめ幻想的。

峠に着くと、西に甲斐駒ヶ岳と摩利支天が迫り、その迫力に息をのむ。ここからは二日前に中級登山教室で行った駒津峰とは逆方向、東へ栗沢山方面へ針路をとる。ガレ場を抜けて樹林帯に入り、急登を登る。某天然水のCMで知られる「水の山」は、苔むした大木が立ち並び、森全体が水を湛えているような雰囲気で、清々しい。森林限界を抜けると視界が一気に開ける。岩場を越えて栗沢山に登頂。

360度の展望が広がり、甲斐駒ヶ岳はもちろん、前日登った仙丈ヶ岳、カール地形もよく見え、雄大な姿。甲斐駒ヶ岳の東側には雲海が広がっていて印象的。

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栗沢山からアサヨ峰までは、アップダウンのあるハイマツと岩が混じる展望のよい稜線歩き。南アルプスの名だたる山々を眺めながら歩く。アサヨ峰の直下では岩場や鎖場が現れる。岩場を超えたアサヨ峰頂上も360度の大パノラマ。国内標高第一位の富士山、第二位北岳、その奥に間ノ岳、塩見岳。振り返れば雲海に浮かぶ八ヶ岳。なんとも贅沢な眺めで絶景。遠くには翌日向かう鳳凰三山・地蔵岳のオベリスクが小さく見える。あそこまで本当に行けるのか、少し不安を覚える。山頂ではベトナムから来て日本で働いているというソロ登山者と写真をたくさん撮り合う。彼は逆方向に縦走し、これから栗沢山や甲斐駒ヶ岳に向かうとのこと。その健脚ぶりがうらやましい。名残惜しいが山頂を後にする。

一度登山道を見失い稜線から外れてしまったが、間もなく登山道に復帰。また、アサヨ峰から早川尾根小屋までは400mも下るが、尾根を外して南側を歩く部分もあって不安を感じて地図をチェックした。この一帯にはペンキマークも見当たらず、気を引き締め直した。やがて数年前にリニューアルされたという早川尾根小屋に到着。広く清潔な明るい雰囲気の小屋で、夕食のカレーは愛情たっぷりで美味しい。ご主人のお話はユーモラスで、「日本一暇な山小屋」との由。温かな人柄にも癒やされながら体を休めた。

3日目/午前3時頃起床、4時に朝食をとる。起床時に降っていた雨は出発時にはやんだが、風が強い。しばらく樹林帯を熊を警戒して鈴や笛を鳴らしながら進む。広河原峠と白鳳峠通過。ここで下山案もあったが、皆さん、意気軒高で、そんな素振りもない。

高嶺までは朝露や雨に濡れたハイマツやシャクナゲでズボンがびしょ濡れになった。高嶺の登りは高度感のある岩場。何とかよじ登って日本百高山の山頂に立つ。到着時はガスがかかっていたが、休憩するうちに晴れ間がのぞき始めた。

 

その後は鳳凰山おなじみの白砂の稜線へ。

岩陰や砂地に咲き誇るピンク色のタカネビランジが白砂に映える。遠くに見えていたオベリスクが次第に大きくなり、ついに、地蔵岳・オベリスクの直下に到着。

稜線から鳳凰小屋までは昨年、中級で歩いた道だ。一休みして、電話が通じたのでタクシーのお迎え時間を1時間遅くする。砂で滑りやすい急坂を下り、樹林帯を抜け、去年リニューアルオープンしてきれいになった鳳凰小屋に到着。手作りのレモネードで喉を潤し、しばし休憩を取った。

ここから御座石鉱泉へ長い下り。深い森をたどる。急下降やトラバースもあり、最後まで気が抜けない。蒸し暑く疲れも見えてくる中、膝痛を警戒して休憩を入れながら歩き、無事、御座石鉱泉下山。タクシーが待っていた。御座石鉱泉は休業中で、タクシーに白山温泉に送ってもらった。入浴後、お迎えに呼んだタクシーの運転手さんは先程の方で、「皆さん一段ときれいになった」と。韮崎駅裏の手打ちうどん屋さんで打ち上げした。

大きなトラブルもなく歩き通せたことに、同行メンバー、荷物を持ち帰ってくれた教室仲間、そして山の神様に感謝した。全行程を通し、樹林帯・ガレ場・岩稜と変化に富み、アップダウンもある長くハードな縦走だったが、展望に恵まれ、登山者の少ない静かな山歩きを満喫できた。南アルプスの懐の深さと豊かな森を存分に味わえる、忘れがたい山行となった。

(文/山本)

 

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