27.深山橋から大寺山、大丹波峠、丹波山村

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★★★ コース NO.27

深山橋から大寺山、大丹波峠、丹波山村

/遠方からも見える白亜の仏舎利塔/
1.大寺山   982m

JR奥多摩駅→西東京バス30分→深山橋・陣屋→1時間30分→大寺山→1時間30分→鹿倉山→1時間→大丹波峠→1時間→丹波山温泉・道の駅たばやま→1分→丹波山温泉バス停→西東京バス1時間→JR奥多摩駅
(歩行時間/約5時間)
登山道グレード/★★ 体力グレード/★★★ 技術力グレード/★★ 総合コースグレード/★★★

あの白い塔は?

陣屋の脇が登山口

 石尾根あたりの稜線を歩いていると、奥多摩湖西方の緑の中に目にも鮮やかな白い塔が見える。「あの白い塔は何だろう?」と疑問に思う人が多いに違いない。白い塔は仏舎利塔。大寺山は、鹿倉山(ししくらやま)を経て山梨・丹波山村に連なる山稜の東端にある。
 JR奥多摩駅前から出る西東京バスの、奥9〜12系統のいずれかに乗り、30分ほどの深山橋バス停で降りる。目の前の深山橋を渡ると、たもとに陣屋という名の蕎麦屋がある。趣きのある建物で奥多摩湖ができたとき、湖底に沈む場所にあったものを移築したのだという。駐車場には簡易トイレもある。

広葉樹と針葉樹の間を登る

 陣屋の右側に「大寺山・鹿倉山」への道標があり、それに従って裏に回り込むように入って行く。ほどなく左手に古タイヤを階段状に置いた登り口があり急登が始まる。尾根に乗って一段落するまでの標高差100mはかなりきついので心して登ろう。そのあとも標高750m付近まで急登は続く。なだらかになってきたら目の前に東西に延びる稜線の末端が現れる。
 東西に長くなだらかな844mのピーク上には東京都水道局の赤い林班界標がある。少し進んでもうひとつ林班界標を過ぎると、岩交じりのヤセ尾根となる。左側が切れ落ちているので注意して進みたい。「平成17年度奥多摩町森林再生間伐事業」の看板を過ぎると、山頂へのやや急な登りが始まる。前方の樹間に白い建造物が垣間見えたら、大寺山の山頂はもうすぐだ。

巨大な仏舎利塔

大寺山 仏舎利塔

 山頂は広く平坦だ。織田信長の時代にここに寺があったのだが、焼失したと伝えられている。そして現在は、巨大かつ不思議な形をした白亜の建造物がど〜んと鎮座している。これが「あの白い塔」の正体、奥多摩仏舎利塔だ。釈迦の遺骨を祀るという。日本山妙法寺が1974年に建立したと看板の説明にある。てっぺんの形はインドにある仏舎利塔と同じ形なのだとか。高さ36m。道理で目立つはずだ。建物の階段を上り、塔をぐるっと回ると東西南北に四つの金色の釈迦像がある。周囲には建設当時の物と思われる資材などがまだ無造作に置かれていたりして、登山ではあまり感じることのない、なんとも不思議な空間である。
 大寺山山頂は東京都奥多摩町と山梨県丹波山村および小菅村との都県境に位置する。奥多摩の山々がぐるっと360度の視界で見えることを期待させるが、仏舎利塔の立つ広場を囲む木々が成長していて、残念ながら展望はきかない。

鹿倉山へ稜線は東西に走る

 「白い塔」の正体が分かったことに満足し、来た道を深山橋まで引き返して、陣屋でおいしい蕎麦を食べるという手もあるが、まだ陽は高い。道標に従い鹿倉山を目指そう。大寺山から鹿倉山へ、稜線はほぼ東西に走っている。進行右、北側の丹波山村側は広葉樹の自然林、進行左、南側の小菅村側は針葉樹の植林だ。どちらも木々が邪魔して展望はよくない。冬に広葉樹の葉が落ちれば右手に石尾根を眺めながらの縦走となる。
 途中で鴨沢への道を右に分け、いくつかの小ピークを巻いて行く。1/25000地形図の1,178mの標高点手前にある「鹿倉山30分」の道標を過ぎて少し行くと道は林道となる。標高1,230m付近からしばらくは林道に沿って北側が伐採されている。近くの1,250mのピークに登って振り返ると、先ほどの仏舎利塔が白く輝いている。その向こうに御前山が大きくそびえ、少し左には奥多摩湖、石尾根に目をやれば、日蔭名栗山、高丸山、七ッ石山、そして雲取山が見える。ルート一番の展望地だ。このあたりで昼食を兼ねた大休止とするのもいいかもしれない。林道に戻ってほどなくの左手のピークが鹿倉山だが、林道をそのまま歩いていると通り過ぎてしまう。適当なところですぐ左にある稜線に上ればすぐに山頂だ。
 鹿倉山の山頂は三角点と道標があるだけだ。周囲を木々に取り巻かれ展望はないが、とても静かなところなのでゆっくり休憩したい。
 下山は、山頂にある大丹波峠への道標に従う。すぐに先ほどの林道に出る。ここには樹木に「鹿倉山↑」と札が掛かっている。ピークを巻くたびに大きくカーブする林道をさらに行くと道標があり、大丹波峠への分岐となる。林道から左に入りほんの少し下ると、また大丹波峠への道標がある。1/25000地形図上の分岐点はこちらだ。道標に従い左に折れ、針葉樹の植林の中を下って行くと再び林道に出る。そのまま行けば30分もしないうちに大丹波峠に着く。

大丹波峠から丹波山村へ

まりこ橋

 峠はスギの植林の中で少し薄暗い。一般車通行禁止の看板と車止めの鎖が掛けてある。小菅村に向かう左の道の方が林道の続きで広く、思わずそちらに行ってしまいそうになるが、ここは右方向、丹波山村へ向かう。

 左手の谷筋が明瞭になってくるにつれ、沢音が聞こえ始める。標高800mを過ぎたあたりで水が流れる沢となり、それに沿って歩く。丸太を組んだ橋がいくつかあり、右岸から左岸、また右岸へと何度か渡らなければならない。濡れていると滑りやすいので気を付けよう。標高670m付近で、橋はないが沢に丸太が横たわっているあたりを左岸へと渡るところがある。

のめこい湯

間もなく前方のピークの上に、お城の天守閣のような建物が見えてくる。通称、丹波山城。ローラー滑り台がある。今は使われていない養魚場の横を通り、椎茸のホダ木の間を通り抜けると、マリコ川にかかる「まりこ橋」がある。ここで登山道は終了となる。
 車道を丹波山、道の駅、温泉などの道標に従い歩く。太い丸太に「水源公園」と書かれた道標があり、「丹波へ至る バス停まで10分」とあるが、右に曲がり、イノシシ対策の電気柵で囲まれた畑の間を通って行くと、丹波山温泉「のめこい湯」の裏手に出る。バスの時間に余裕があれば汗を流していくのもいいだろう。温泉を出て丹波川にかかる吊り橋を渡ると、道の駅「たばやま」だ。お土産を買い、道の駅の前の坂を上がって青梅街道に出たところに丹波山温泉バス停がある。奥多摩駅に向かうバスの本数は多くないので、事前に調べておこう。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)

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