32.笹尾根を西原峠、笛吹峠、丸山、浅間峠、上川乗

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★★★ コース NO.32

笹尾根を西原峠、笛吹峠、丸山、浅間峠、上川乗

/山名数2位。笹尾根の「丸山」は三角点峰/
1.丸山   1,098.3m

JR武蔵五日市駅→西東京バス1時間→仲の平バス停→1時間30分→槇寄山→35分→数馬峠→25分→笛吹峠→15分→丸山→50分→土俵岳→45分→浅間峠→40分→上川乗バス停→西東京バス50分→JR武蔵五日市駅
(歩行時間/約5時間)
登山道グレード/★★ 体力グレード/★★★ 技術力グレード/★★ 総合コースグレード/★★★

南秋川を渡って美しい集落を行く

 東京と神奈川の境に連なる笹尾根の縦走は、頂とともに峠をたどる山行でもある。いくつものピークを越え、峠と出合う。峠は、南北の谷あいに点在する集落を結びつける生活の道だった。南秋川上流から槇寄山に登り笹尾根をたどってみる。
 JR武蔵五日市駅から数馬行のバスに乗り、終点のひとつ手前、仲の平(なかのだいら)で降りる。バス停のすぐ先から左へ下って、南秋川に掛かる橋を渡り対岸の道路を登って行く。山の斜面にひなびた美しい集落が現れる。左に小さな祠があり、大水の時に上の方から流されてきたという観音像が祀られている。登山口は集落の一番奥の民家の横にある。
 斜面にへばりついたような小さな畑の間を抜けると、道はツガとヒノキの木陰に入って行く。ジグザグに登り、右に骨組みだけになった小屋掛けの跡を見ると、あとは尾根の上に出たり右手を絡んだりしながら徐々に高度を上げて行く。掘れて溝状になった道が昔からの生活道路だったことを思い起こさせる。TVアンテナを過ぎると、コナラやミズキなどの広葉樹の林になり、緑がまぶしくなってくる。最後に斜面をトラバースし、抜け出たところが尾根上の静かな小平地、西原峠だ。

富士の姿が美しい頂と峠

槇寄山

 西に向かって登ること3分。槇寄山の頂は南側が開け、富士山の眺めが美しい。三等三角点が設置されている。お誂え向きにベンチやテーブルがあるので腰を落ち着けたくなる。そこから西原峠に戻り、武相国境の尾根を浅間峠方面に向かう。
 アズマネザサ、クマザサなどに覆われていた「武甲国境尾根」は、いつしか笹尾根といわれるようになった。とても展望がよいところだったが、いまや樹林に覆われた夏なお涼しい木陰の道である。

槇寄山からの富士山

道は、おおむね稜線の左を巻きながら南東方向に向かう。カラマツとミズナラの森は見渡す限りの緑。秋になると、紅葉が見事だ。下りついたところで、山梨・田和(たわ)への分岐(田和峠)を過ぎる。しばらくヒノキとミズナラの森の中、下り基調の尾根のやや左を行く。ベンチのある峠が数馬峠だ。上平峠(わだいらとうげ)とも笹ヶ峠(ささがたわ)ともいう。

 

数馬峠から富士山と丹沢

南が開けて、築地塀のように連なった権現山から雨降山の稜線の先に富士山から丹沢の山々にかけての大観が広がる。このコースの中でもっとも眺めがよい場所である。仲の平から登ってきた道が、この峠を越えて山梨・上平に下っている。
 次は笛吹(うずしき)峠とうげだ。尾根の左側を行く。笹ヶタワノ峰(1,121m)など、コブを巻いてしまうと道は間もなくカラマツ交じりの広葉樹林からヒノキの林に入って行く。道をひとつ左に分けるが、これは「中央区の森」のある大羽根山を経由して浅間尾根登山口バス停に下る道だ。
 直進すると、すぐに二股に出合う。直進は山梨・藤尾に出る道で、左が笹尾根の縦走路だ。やがて古い石の道標がある峠に出る。笛吹峠だ。大日峠ともいう。石の道標には、真ん中に「大日」と記され「右にかづま 左にさいはら」とある。

緑濃く静かな稜線が続く

丸山

 丸山の登りにかかる。このコースのなかでは、もっとも大きな登りだ。〝丸山〟といえば、日本の山で、〝城山〟に次いで2番目に多い山名だ。由来は明白だ。丸いから、そういうに疑いない。笹尾根の丸山は、どこから眺めれば、そう確認できるのだろう。
 丸山の山頂は小広く、よく踏まれてほとんど平らに見える。周囲は自然林で、北側の一角に山名標柱が立ち、その脇の三等三角点が人待ち顔だ。縦走路からわずかにはずれているためか、訪れる人も少ないようだが、好ましい雰囲気は寄ってみる価値がある。
 丸山のすぐ先で山梨・日寄(ひより)に下る道を分けると、その先は多少の登り下りがある平坦な稜線である。やがて小棡(こゆずり)峠で笛吹から上がってくる道を合わせ、さらにその先で山梨・棡原(ゆ

土俵岳

ずりはら)に下る道を分ける。
 小さな登り下りを繰り返して行くと、防火用の水を溜めたドラム缶がある土俵岳(1005.2m)の頂上に出る。樹林の中、縦長の小広い山頂の一角には三等三角点の標石が頭を出している。山頂から右に延びる尾根にも道があるが、笹尾根の道は左。杉・ヒノキの林の中を下りきったところに石仏がたたずんでいる。
 いくつ峠を通過しただろう。人里(へんぼり)から山梨・日原(ひばら)に向かう峠は日原峠である。比高50mほどのコブを登り返すことになる。疲労がたまった脚にはややきつく感じる。コブをもうひとつ越えると眼下に東屋が見える。浅間峠だ。東屋と反対の側には2本の大きな杉の木が立ち、その根元に浅間社の祠が静かに鎮座している。笹尾根では峠らしい雰囲気が一番強い峠である。

古の名残ある道を下る

 尾根と分かれ、浅間峠から栗坂みちを北に向かい、尾根の左斜面を下りながら横切る。傍らに馬頭観音がある。道が再び尾根の上に乗ると、間もなく大きな木の祠が尾根の真ん中に立っているのが見える。その先は祠に向かう参道らしく、階段が多くなる。道は尾根の右手の斜面をジグザグを描くように下っていき、小さな橋で小沢を渡ると間もなく甲武トンネルから下ってくる道路に飛び出す。10分ほどで南秋川橋を渡ると上川乗のバス停はすぐだ。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)

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