報告)自然保護講演会

 

「登山道の維持管理と自然環境の保全対策
~私たちにできることは何か~」

 

自然保護講演会

2024年10月30日、オープンイノベーションフィールド多摩国分寺館にて自然保護委員会が標題の講演会を開催した。
参加者は一般、会員、計25名だった。
講師は、登山道法研究会副代表の森孝順氏である。

講師は環境省に30年勤務し日本各地を歩いてきた山を中心に話された。いま山で何が起きているかは、登山道の利用と密接な関係がある。それは森林の荒廃、過疎化、山村文化の消滅や生態系の攪乱・損傷、地球温暖化と生物多様性への影響や利用の多様化(一般化・観光化)、入山者のルールとマナーなどである。山岳遭難が20年で3倍で登山道に起因が7割となる。長野県の「岳・山登り10訓」に学ぶことが多い。埼玉県、大雪山などでは「登山は自己責任」が謳われている。登山道は浸食・老朽化・廃道化・管理者不在などで維持管理が難しい。特に、登山道は誰が管理しているかは曖昧であり、国立公園内の歩道は管理者不在が5割ある。しかし登山道を整備すればするほど管理責任を問われる。実際は、ボランティア活動、協力金などの受益者負担で賄っている。この現状を踏まえ「山の道」の持続可能な利用のために登山道法構想で問題を提起した。ただし、法制化はなかなか難しいのが現状である。

一方、自然環境の保全対策では、ゴミ問題とトイレ問題である。ゴミ問題は、ゴミ持ち帰り運動で大成果を上げた。トイレ問題は環境省の補助事業で3Kトイレの解消が進められているが、今後はし尿の持ち帰り運動を推進する。講演後の質疑応答は3件あった。講演の中で講師の「登山は不便を味わう方が良い」の言葉が印象的であった。

(文/写真 河野悠二)

 

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