29.数馬分岐から浅間尾根を西へ、御林山、都民の森

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★★ コース NO.29

数馬分岐から浅間尾根を西へ、御林山、都民の森

/古道に「天領」の名を残す静かな頂/
1.御林山   1,078.4m

JR武蔵五日市駅→西東京バス50分→浅間尾根登山口バス停→60分→数馬分岐→20分→数馬峠→45分→御林山→20分→奥多摩周遊道路浅間尾根駐車場→30分→戸沢峰→20分→鞘口峠→15分→都民の森バス停→西東京バス1時間20分→JR武蔵五日市駅
(歩行時間/約3時間40分)
登山道グレード/★★ 体力グレード/★★ 技術力グレード/★★ 総合コースグレード/★★

天領334町8反歩を御林山と呼んだ

 多摩川の支流、秋川が北秋川と南秋川に分かれ、三頭山や月夜見山、御前山などに遡っている。その間の尾根上に御林山はあり、標高1078.4mの最高地点に三等三角点が静かに眠っている。寛文検地(1661〜73年)の水帳(土地台帳)によれば、檜原村には、熊倉山、月夜見山、三頭山、白岩向山(金毘羅尾根はずれの白岩山か)、毛手山(現在の湯久保尾根モーテ山か)に計324町8反歩の幕府所有の山があり、それらは御林山と呼ばれた。三頭山につながる浅間尾根道は、御林山巡検道であり、その尾根に天領の山名を遺しているのが御林山だ。
 浅間尾根道は小仏峠の道が開かれるまで、元八王子から醍醐丸や市道山を通って本宿へ出て、時坂峠から尾根上を風張峠まで登り、小菅を経て旧大菩薩峠、そして裂石から塩山へと、甲州へ渡る「甲州中道」だった。現代において浅間尾根は、登山の対象として多くの人達に親しまれているが、数馬分岐から東側への入山者が多く、西側へ入る人は少ない。

数馬分岐で西に向かう

数馬分岐の馬頭供養象

 浅間尾根登山口のバス停から登ってきた尾根道にひっそりと馬頭観音が祀られている。数馬分岐は、直進すれば浅間嶺に向かう分岐点だが、西に向かい風張峠を目指す。進んで行くと平坦な道となる。周囲はスギやヒノキの植林帯が続き、右側のピークを巻いて下ると、入間白岩林道に出る。林道を渡ると道標が風張峠を指し、細い登山道が延びている。道標に従って進めば歩きやすい道が続いていて、昔の人々の歩く姿が想い浮かぶ。

数馬分岐

 しばらく行くと道が180度近く転回し、数馬峠(藤原峠)で左に数馬側へ下る道が延びている。曲がり角に立つ石仏に見つめられて道をたどり、三頭山や笹尾根の展望を楽しみながら、もう一本、数馬側への下降路を見送る。さらに、仲の平分岐を見送れば、やがて登山道が巻道と御林山の頂上へ向かう踏み跡とに分かれる。道標を見て踏み跡を登って行くと、わずかの登りで御林山山頂に立つ。浅間尾根登山ロのバス停からここまで約2時間だ。
 木立に囲まれて三等三角点がひっそりたたずみ、檜原村の建てた山名を示す標柱と手彫りの標識がある。よく見ると、標識に熊野修験者が残した御札がはさんである。「武蔵国御林山」と書かれた文字の墨がまだ濃く、「平成23年12月吉祥日」とあった。南東の数馬側は杉と檜の植林、北西の倉掛側は自然林と明確に分かれている。

道路建設で尾根道切断

奥多摩周遊道路を横切る

 静かなひとときを過ごしたら、踏み跡も不明瞭な北西方向へ踏み出す。少し下ると山頂を巻いてきた道が左側から合流。そのまま登り返して直進するとフェンスに阻まれる。真下に車道があり、そこから奥多摩周遊道路に降りられる。都民の森方向に下って最初の左カーブの地点に風張峠を指す道標があるが、むき出しになった木の根がなければ、登るのに苦労する急登だ。
 周遊道路を建設するため浅間尾根が掘削され、歴史を秘めた古道が寸断されてしまった。要する時間はわずかだが、木の根をつかむ急登は、雪が付着したり、凍結したりする冬季には厄介だろう。
 これを登り切ると歩きよい平坦な登山道になるが、しばらく進むと今度は道が荒れ、あまり踏まれないため土が柔らかく崩れやすい。さらに右斜面の上からは崩壊した落石が多く、足早に通過する。慎重に歩けば問題はないが、現在のように入山者が少ないままであれば、やがて登山道は荒れて廃道と化すかもしれない。
 2カ所ほど注意の必要なところがあり、1カ所にはロープが張ってある。ここを通過すればなだらかに登る道が続く。途中、小ピークを巻いて行くと戸沢峰(1,249m)へ達する。右に300mほど歩けば風張峠で、昔の甲州中道はそこから小菅に下っていた。峠からは御前山がよく見える。
 戸沢峰から鞘口峠へは左に進む。道は細くても迷うところはなく危険もない。途中、砥山(といしやま/1,302m)を巻く道が右に分かれるが、踏み跡を直進すると山頂に着く。尾根筋をたどって巻道と合流し、広葉樹林に包まれた道を歩けば、ほどなく鞘口峠に着く。南側に20分ほど下ると都民の森バス停が見えてくる。

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平29情複、第719号)

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