実施日:2025年5月15日(木) 晴れ
場所:裏高尾・木下沢と日影沢の林道
参加者:
石塚、岡田、小河、河野、橋本JAC会長、松川(信)(一部参加)、
村上、横関、吉田、渡邉、計10名
行程:
大下バス停8:45~木下沢梅林~11:40高尾の森づくりの会BC12:30~12:50浩宮誕生植林碑13:00~13:15高尾の森づくりの会BC~14:05日影沢入口14:15~14:30日影キャンプ場14:50~15:05日影バス停
報告:

高尾の森づくりの会BC小屋前にて
今回で春のチョウ観察を裏高尾で実施するのは3回目であるが、昨年の自然保護 全国集会の会場で、橋本JAC会長との何気ない会話で中学時代の生物部でのチョウ観察を経験されていることから今回参加されることになった。
この日は、観察開始時間をこれまでより1時間早めたが、天気も晴れて、午前9時前ですでに20度近くに気温が上がったため、チョウの活動が早くから見られた。
まず、大下バス停から木下沢梅林までの間で、小仏川の河原に10数頭のカラスアゲハに、ミヤマカラスアゲハもまじって、集団吸水しているのが観察できた。山奥の沢で見られるような珍しい光景が里山で見られてたいへんラッキーであった。
ウスバシロチョウは、昨年、一昨年の観察会では、すでに見られないか、見られても遠くで数少なかったのが、今年は、多くが小仏川や木下沢梅林前を飛んでいるのが見られ、ハルジオンの花に吸蜜するのが近くでじっくりと観察できた。
今年は、チョウの出方が例年より1週間ほど遅いと感じられるが、ウスバシロチョウの場合は、その影響がよい方に出たと思われる。
その代わり、例年この時期、木下沢林道入口までの道路脇にウツギの花とスイカズラの花が満開で、オナガアゲハ、ジャコウアゲハ、カラスアゲハなどが吸蜜しているのを観察できたのだが、今年はこれらの花が遅く、このような種類のチョウがほとんど見られなかった。特に、ジャコウアゲハがほとんど見られなかった。カラスアゲハも、小仏川での集団吸水以外では、少なかった。
前回、前々回とくらべて、見ることができたチョウの種類は少なかったが、カラスアゲハの集団吸水のシーン、透き通ったような翅の、氷河期の遺物と言われるウスバシロチョウや裏表の翅の模様が美しい春型のサカハチチョウを近くで観察することができたことなど、過去の観察会とは違う経験ができたことはよかった。
そのほかに、山地性のモンキアゲハを何度も見ることができた一方、ジャコウアゲハが少なく、アサギマダラも見られなかった。オナガアゲハは、例年通り、多くが見られた。平地で多いアゲハ(ナミアゲハ)は、今年も、ここでは見られなかった。
また、下見で見ることができた、アオバセセリ、スミナガシという比較的めずらしい種類のチョウは見ることができなかった。
アオバセセリの場合は、吸蜜に来るウツギの花が少なかったことも影響していると思われる。
そのほかに、木下沢梅林付近で、これまでよく見られたテングチョウ、木下沢ゲート付近で見られるダイミョウセセリなども今回は見られなかった。
また、今回も、木下沢梅林の手前の道脇に生えているカラムシの葉を二つ折りにした中に、アカタテハの幼虫をみんなで観察することができた。成虫は見つけることができなかった。
このように、前回見られたものが見られなかった理由については、よくわからないが、その時の天気、気温、気候のずれ、変化、それに関係した植物の成長と開花の状況など、いろいろな要素が絡んでいると思われる。それぞれのチョウが、種類によって減っているかどうかは、一回の短時間の観察では、わからない。
今回観察できたチョウの種類は16種であった。
(文/石塚、河野(一部加筆)、写真/石塚)