報告)安全対策委員会「冬山の医療講座」

2023年11月9日(木)に冬山の医療講座を開催した。講師は野口いづみ支部長、参加者は登山教室受講生7名を含む35名。
講習会に先駆けて、AUTHENTIC JAPANの髙栁氏(CMO)と若村氏(取締役CLO)より、“もしも”の時をサポートしてくれる「ココヘリ」について紹介があった。電波の通じにくい場所での山岳遭難で、捜索時間短縮に貢献できるアイテムであり、利用者は年々増加しているとのことだった。
講座では、冬山登山で起こりうるトラブルについて、低温障害(凍瘡・凍傷、低体温症)、雪崩遭難における対応ノウハウを事故者と救助者の両面から実例を交えて紹介された。
凍瘡・凍傷は寒さにさらされて血行障害が起きている状態であり、予防により事故を防ぐことができるとわかった。低体温症の事故実例として挙げられた2009年7月に起きたトムラウシ山の遭難事故では参加者は男性8名、女性10名だが、亡くなった方の8名中6名が女性であったことに驚きを覚えた。夏山での事例だが、女性の方が寒さに弱いことがわかり、今後の防寒対策や体づくりのヒントを得ることができた。
最後に過去の遭難事故事例の紹介がされ、冬山を計画する際には入念な準備をすることが何よりも重要であること、万が一の対応のためにも登山計画書を提出すること、そして初期対応ができる知識をもつことが大切であると学んだ。参加者からは雪山での対応に関する質問が多く、これからの季節に登山を計画している方にとって意義ある講座内容だった。   (文・写真/村岡庸こ、写真/石井秀典)

ココヘリの説明をする髙栁氏

低温障害の事例

雪山での「もしも」に備える知識

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