報告)ギフチョウ観察会-石砂山の頂上で飛び交うギフチョウ

日 時

2022年4月5日(火)晴れ

参加者

9名(河野、岡、岡田、小河、菅野、高砂、中原、村上、石塚)

行 程

藤野駅前バス停8:08= (神奈川中央交通バス) =8:22やまなみ温泉8:30=(デマンドタクシー)=8:40篠原旧バス停→9:00石砂山登山口→10:00石砂山頂上(観察・昼食)11:30→12:30登山口13:00→篠原バス停13:30=(デマンドタクシー)=13:50やまなみ温泉14:18=(バス)=14:28藤野駅

記 録

自然保護委員会は野火止保全活動PTと合同でギフチョウ観察会を2022年4月5日(火)、神奈川県相模原市緑区の石砂山(いしざれやま537m)で行った。

ギフチョウ(Luehdorfia japonica)は、中型(前翅長約33mm)のアゲハチョウ科、日本固有種で絶滅危惧II類に指定されている。東京ではすでに絶滅したが、関東では神奈川県北西部にのみ残存しているとされている。石砂山は相模原市が保護に力を入れていて、この希少で美しいチョウが観察できる人気の山である。

中央線藤野駅から神奈川中央交通バスでやまなみ温泉バス停に、そこで、予約してあった地域のデマンドタクシーで石砂山登山口への入り口になる篠原(しのばら)旧バス停に着いた。

登山口からしばらくヒノキ林の急な登りを行く。左側は切れた斜面で下には沢が見える。30分も登ると尾根道に出る。ミツバツツジが花をたくさんつけているところで、先頭を歩いていた数人が、そこを飛び過ぎて行ったギフチョウを目撃した。この日初めて見られたギフチョウだが、飛ぶのが早くてしっかり観察することができなかった。

山道の脇には、ギフチョウの食草であるカンアオイ類(カントウカンアオイ)の小さな株が2か所ほどで見られた。

登山口から約1時間で10時頃山頂に到着。晴れて気温も高く、ギフチョウの活動が活発になる10度をすでに超えていて、山頂直下あたりからもギフチョウが飛んでいるのが見えたが、山頂に到着すると数頭のギフチョウが飛び回っていて、われわれのグループはザックを置いて観察を始めた。すでに小学生を含めて数人が写真を撮ろうとして登ってきていた。

頂上周辺はブナやクヌギなど落葉広葉樹で、山頂の小さな広場の周りには落ち葉が積もっている。多数の(実際に数え切れなかったが、10頭以上かもしれない。少なくとも一度に数頭が見られた)ギフチョウが観察できた。

われわれの周りを飛び回っている数頭、頂上広場の中心の赤土の地面のあちこちに翅を広げてじっととまっているギフチョウ、周りの枯れ葉の上にとまっているギフチョウなど。とまっているのをよく見ると、黄色と黒の縞模様の翅や胴体の毛が新しくて美しい。羽化したばかりのようだ。

飛び回っているのは、オスがメスを追いかけて交尾しようとする配偶行動(オスが別のオスを追い払う行動もある)。「春の女神」とか「春の妖精」などと言われるが、このときの飛ぶ速度は「女神」から想像するお淑やかさではない。よく写真で見る、カタクリで吸蜜する姿とは違う、生存のための活動だ。ギフチョウにはこのようにオスが山頂や稜線に集まりメスを待つ、山頂占有性と呼ばれる習性がある。

昼食を食べた頂上のテーブルの上に、誰かが置いたギフチョウの写真が3枚あったが、その写真の上に1頭のギフチョウ(多分オス)が飛んできてしばらくとまった。前肢で写真のギフチョウに触れている。本物のメスかどうか確かめているのであろうか。山頂で1時間半、観察を続けて、ギフチョウの数とその活発な動き、美しさに感動して、来た道を下山、13時ごろ登山口に戻った。

石砂山では、同時期に見られるヒオドシチョウ、ミヤマセセリ、スギタニルリシジミも目撃。下山後、アカタテハ、テングチョウ、モンシロチョウも観察した。

(文/石塚嘉一、写真/石塚嘉一、高砂寿一)

山頂の地面に翅を広げてとまるギフチョウ

枯れ葉の上のギフチョウ

テーブルの上のギフチョウの写真の上にとまるギフチョウ

石砂山山頂で全員集合

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