報告)髙尾山薬王院佐藤貫首の講演会開催 総務委員会 辻正人

髙尾山薬王院の佐藤秀仁貫主による講演会が、3月25日(土)14時から国分寺のリオンホールで支部総務委員会主催で開催された。生憎の雨天だったが154名の聴衆で会場は一杯になった。貫首は2年半前に50歳の若さで第三十三世貫主に就任された。最初の挨拶で「横になって聞いても結構ですよ」と笑いを誘う。

 

まずは薬王院の由来から。薬王院は奈良時代(744年)に

聖武天皇の勅令により高僧行基が開き、薬師如来を本尊としたことから薬王院と命名された。南北朝時代になると京都醍醐寺の俊源大徳が入山し(1375年)、滝行をしてこの地が修行の場にふさわしいと認め、「飯縄大権現(いいづなだいごんげん)」を本尊として中興。飯縄大権現は4つの神が不動明王という仏と合体してできた、神仏習合の神様だ。薬王院の本堂脇には鳥居があるが、これも神様が住みやすいように造られた。髙尾山薬王院は真言宗智山派の寺であり、現在、「成田山新勝寺」「川崎大師平間寺」ととも                    に同派の日本三大本山として崇められている。

後半は修験道の話に。日本では昔から山を神聖な場所と考える山岳信仰が盛んだが、これが仏教と習合して生まれたのが修験道だ。貫主は高校卒業後、僧侶の道を歩み始めたが、進路に悩み鬱々としていた。見かねた先代の貫主が、早逝した父親のように大峯で修業するように叱咤激励。最初は苦しいばかりだったが、ある日、道や崖に修行僧たちの汗が点々とついているのに気付き、「父もこうして…」と思った。そのまま山頂に向かい谷から吹く風に当たった時、突然、ほとんど記憶にもない父親をすぐ近くにいるように感じた。以来、勇気と自信を持ち、自分を取り巻くすべての縁に感謝するようになり、世のため人のために尽くす覚悟もできた。大峯山にも10年近く通い、「大峯山奥駈修行大先達」の称号を授けられた。

大峯山では山全体が仏の体であり、岩、樹々、光、雨、すべてが仏の一部であると感じることができるという。高尾山も「冷気満願」と言われ、登った人を清らかな気持ちにしてくれる。貫主は「どんな山にもそうした力はあり、山に登れば生きる力を心や体に自然と取りこみます。それを皆さんもわかっているから山に行かれるのでしょう」と語る。最後に修験道で会得した法螺貝を響かせて、会場をわかせた。

あふれでる清々しさ、引き込まれる語り、気さくなお人柄、いつまでも残る幸福感。すばらしい講演会だった。

 

 

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