報告)自然保護委員会 講演会 山と温暖化:私たちの山は今どうなっているのか?

日 時

2023年10月26日(木)18時30分~20時25分

会 場

立川市女性総合センター5階第3学習室

演 題

山と温暖化:私たちの山は今どうなっているのか?

講 師

日本環境ジャーナリストの会理事 岡山 泰史 氏

参加者

一般 10名、会員 20名、計30名

報 告

雑誌「山と渓谷」に3回連載した「山と温暖化」の執筆者(山と渓谷社社員)が今回の講師である。私たちの山は今どうなっているのかを、丹沢、北ア、中ア、南ア、伊吹山を例に話された。丹沢ではシカの食害で木を枯らし、植生を破壊し土壌流失が起きている。北アではニホンザルによる雷鳥捕食、発見された氷河の消失の恐れがある。中アでは近年雷鳥が絶滅している。一部で人間の手による保護で復活してきている。南アではシカ食害による高山植物消失、裸地化が進んでいる。伊吹山ではシカの食害による被害がある。シカ食害の影響が多いが、シカが爆発的に増えたことが起因している。オオカミの不在、拡大造林による生息敵地の増加、ハンターの人手不足、積雪量の減少により冬を乗り切るシカの増加などによる。温暖化の山への影響は、土壌流出・土砂災害を引き起こす、里の動物が高山域に進出、雷鳥や高山植物への脅威、ブナ林の衰退、氷河・雪渓への影響、永久凍土の喪失、農作物への深刻な被害、スキー場経営への影響などが発生している。

温暖化を止めるには、各国の協力が必要だがなかなか進んでいない。私たち登山者にできることは、CO2排出削減のためマイカーから公共交通機関の利用、登山用品メーカーの脱プラスチック対策に協力するなどである。一般生活では、断熱ドア・サッシの利用(東京都の助成金制度の利用)、フードロス(食品ロス)をしない、コンポスト(生ゴミを微生物に分解させる)の利用も大事である。

質疑応答では、多くの質問、意見が出たが、その多くはシカに関することが多くシカ食害への関心が窺えた。また、温暖化対策の化石燃料以外のエネルギーとしての風力発電、ソーラーパネルの設置、潮流発電などに関する意見も出ていて地球温暖化への危機意識が高いことが窺えた講演会であった。

自然保護講演会

日本環境ジャーナリストの会理事 岡山 泰史 氏

(文:河野悠二、写真:高砂寿一)

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